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異世界転生ファンタジーの参考にならないギルドの話

 別に異世界転生ものでなくてもネトゲでも何でも良いのですが、ファンタジーものの世界に付き物とも言える「ギルド」。勿論これは中世ヨーロッパに実在した同職組合であるところのギルドをモチーフにしているのですが、ファンタジー世界においてはファンタジー世界特有の味付けがなされていることが多々あります。

 そこで今回は、ファンタジーギルドとリアルギルドの違いを紹介する体で、リアルギルドの忘れがちな側面を語ってみたいと思います。

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本稿の内容の三行まとめ
・リアル世界においてギルドはなかなか侮れない存在だったよ
・でもリアル世界のギルドは面倒くさい存在だったよ
・ファンタジーギルドとリアルギルドは混ぜるもんじゃないね

■お断り■

 当方は中世ヨーロッパを守備範囲とする人間ですが、ファンタジー世界に関しては人並みの知見しか持ちえておりません。ので、本稿の中ではまるで見てきたかのように語っているが、実のところは調べて得た情報だったりするというような箇所も散在します。

 また中世のギルド事情に関しても、国や地域、時代差というのはどうしてもついてまわるものですので、本稿の解説はある程度単純化されたものとなっています。例えばギルドという名称に関しても、ドイツ語圏ではツンフト、イタリア語圏ではアルテなどと言ったりもしますが、本稿ではその辺を区別せず全部ひっくるめてギルドと呼称しています。

 これらをご了承の上でお付き合い頂ければと存じます。

■ファンタジー世界におけるギルドのおさらい:冒険者ギルドの万能感■

 ファンタジー世界におけるギルドといえば、やはり何と言っても冒険者ギルドでしょう。

 冒険者ギルドという名称そのものは「ロードス島戦記」に登場するものが早い部類かと思われますが、歴史の中では必ずしも「冒険者ギルド」という名称が統一的に使われていたわけではありません。昔の作品で代表的なものは以下のような感じでしょうか。

  • ソードワールドの系譜における「冒険者の店」と「盗賊ギルド」
  • ウィザードリィの「ギルガメッシュの酒場」やドラクエ3の「ルイーダの酒場」など

 名称は作品によって色々ですが、これらの冒険者達が集う店、宿屋、酒場のイメージが今日的な冒険者ギルドの母体となった事は確かでしょう。更に言えば、西部劇のサルーンとかにもその泉源は求められるかもしれません。

冒険者ギルドの三態

冒険者ギルドの三態

 で、これらのイメージを下敷きにして、よりいっそうテンプレ化が進んでいるのがウェッブ小説界隈です。
 特に最近は異世界転生ファンタジー的なものが流行っておりますので、それと相性の良い冒険者ギルドも露出の機会が増えているようです。そんなギルドの設定は、作品によりけりではありますが、
「仕事の斡旋」と「同業者の交流」機能を共通項とし、そこに「団員管理」「ランク付け制度」「付属の宿舎等の福利厚生」「美人の受付嬢」といった各種要素が付加されたりされなかったりといった具合です。更に進んでギルド自体が一つの勢力となっている団体型の例もありますが、これは少数ではないでしょうか。(と言いつつも、最近プレイした「グランキングダム」なんかでは、傭兵ギルドは領土すらもった独立勢力として描かれていましたが。)

 一方でネトゲにおけるギルドはまた独自の傾向を持っています。あくまでプレイヤー同士の組合なので、冒険者ギルドとは異なり仕事の斡旋といった要素は乏しいものの、逆に共通の利害を持った団体・勢力としての側面を強く持っています。ただしこっちは本稿では特に取り扱いません。

■ギルドの重みと自明ではないギルドの権利■

 ファンタジーから現実に戻りましょう。時代は中世の中頃以降、場所はヨーロッパの英仏独伊あたりの都市世界。
 かの地のギルドを持たぬ職人にとって、ギルドを設立することは一種の悲願でありました。

 なぜなら、ギルドを設立し、徒党を組むということは、その職人達が社会的・政治的発言力を持つことを意味するからです。例えばパン屋は一人でいる限りは一介の小市民に過ぎませんが、都市中のパン屋が連合すればどうなるでしょうか。価格設定の上で有利になるのみならず、都市や商人達に対して交渉力も持ちえます。下層民には許されない諸々の権利を要求することもできますし、自分達に不利になるような法律はそうそう通させはしないでしょう。

 極端な話、ストライキを起こせば都市に対して脅迫することすら可能になります。もちろん実際にはそんな事はせんでしょうが、都市中のパン屋が連合すればそれだけの影響力を持ちえるという話でもあります。パン屋であれば、都市でパンを売る権利をギルドが独占して、非加入者の販売を禁じるような法律が作られる例も多々ありました(と言いますか、独占こそがギルドのギルドたる所以とする見方もあります)。言うまでもなく独占権は相当に強力な利権です。これらはいずれもパン屋一人ではできないことです。群れることによって初めて可能になります。

 個々人がそれなりに制度によって守られている私ら現代人は忘れがちですが、皆が己の権利を守るために戦っていた中世において、群れることとは、すなわち、力です。ですので、自分たちのギルドを持てるか否かは、自身の生き抜く力に直結する、重大なトピックであった訳です。

団結する職人たち。

団結する職人たち。

 さて、そうなると一つ問題が生じてきます。当人たちにとっては万々歳でも、都市当局や他の既得権益を持つ団体的には、勝手にギルドができて影響力を持っちゃうのは、あまり嬉しありません。何しろギルドは基本的に自ギルドの利益のために動きますので、他の団体にとっては基本的に競合勢力なわけです。敵であるならば、団結して強固になられるよりは、無力な個々人でいてくれた方がやりやすいわけです。

 ですので、ギルドの設立は決して自明の権利ではなく、都市当局によって規制されるのがデフォルトでした。群れることが力になるということを、偉い人達も知っていたのです。ドイツでは、ギルドの設立をめぐって都市当局と職人たちが対立し、ツンフト闘争と呼ばれる騒乱が広く起こったりもしました。それでもすべての都市でギルドの設立が認められたわけではなく、ニュルンベルクなどでは職人達はギルドを持つことが許されず、自前のギルドを持つ商人達の支配下に置かれていました。

 この辺はファンタジー世界の冒険者ギルドとはわかりやすく異なる点です。迫害されていた冒険者達がギルドを作ろうとして当局と喧嘩するなんて話は寡聞にして聞いたことがありませんし、一般的なファンタジーで冒険者ギルド全体の利害が取り沙汰されることもあまりないのではと思います。利害の意識を強く持った団体という意味では、冒険者ギルドよりも存外盗賊ギルドの方が中世欧州のギルドに近いかもしれません。

 ちなみに、ここでは都市の政府的存在のことを都市当局と言ってますが、彼らもそもそもは商人達がギルドを作って連合したのが始まりだったりもします(中世の都市において、支配者達てのは、大抵は商人層です)。そんなわけで都市当局は商人の利害を代表しがちなので、それに抵抗するためにも職人らは同職組合を組織して力を得ねばやってられなかったわけですね。商人にとっても職人にとっても、群れることは力であるわけです。

■市民社会とギルド■

 上述のように、中世欧州におけるギルドは、立場の弱い個々の職人たちが糾合して、それなりの力を持った一つの勢力と化すことにその意義がありました。では、そうやって結成されたギルドはどのような存在だったのでしょうか。ここでは、その公的な側面を中心に都市におけるギルドを語りたいと思います。

 そもそも、上で述べたように、ギルドの設立は都市当局によって規制されることが多々ありました。しかしこれは、逆に見れば、設立されたギルドは都市当局によって公認されたものだとも表現できます。ですので、ギルドとは職人たちが勝手に作った私的な組織ではなく、公共の社会に開かれた存在であるわけです。

 例えば、欧州に限らず昔のお祭りというものは「行列」‥いわゆるパレードが結構な地位を占めていました。本邦でも中世から続く京都の祇園祭では山鉾の行列がその主成分です。このような行列に際して、各ギルドは都市の代表として参加し、各々のギルドの表彰を誇らしく掲げたと言います。祭りに限らず、自警団の派遣や教会への寄進など、都市の活動の様々な分野において、ギルドは母体・単位として機能していました。夜間の見回りに各ギルドからx人員を派遣する、とかそんな感じです。「隣組」や「小教区」といった地域的な組織と機能的に重なるところもありました。

パレードの配置場所にも上下が存在し、各ギルドはよりよい位置を獲得しようと競い合ったそうな。

パレードの配置場所にも上下が存在し、各ギルドはよりよい位置を獲得しようと競い合ったそうな。

 また、公的という意味では、都市のギルドが政治の世界と結びついていたことも重要です。都市の政体は時代や地域によって異なりますが、例えば各ギルドから議員が派遣されるなど、政界がギルドを単位に構成されることもありました。

 やはりまた例を挙げましょう。
 ダンテというおっさんがいます。ゲームではなく中世の方です。とても著名なイタリア・フィレンツェの詩人であり(※1)、政治家としても都市政府の重役を務めたこともありましたが、彼は医師・薬剤師の組合に属していました。というのも、当時のイタリアでは政治活動をするには何らかのギルドに属している必要があったのです。しかしかの街に詩人ギルドなんてものはなかったので、彼は政治の道を歩むために本業とは異なる薬剤師ギルドに加入したわけです。

※1:古代以降のヨーロッパにおいては、シェイクスピアと並んで文学会のツートップとかそんな位置づけの人です。これにゲーテが加わってスリートップとなる事もあるようです。

 このように、ギルドへの所属は政治家となる大前提とみなされるほど、政治の世界とギルドは密接に結びついていました。当時の都市は、政治的にも社会的にも、ギルドを単位に構成されていたとすらいえます。そして逆に見れば、ギルドに所属していないものは政治に限らず各種の公的な活動から締め出されるわけでありまして、ギルドに属すことが各人の社会的立場に与える影響の大きさがうかがえるのではないでしょうか。

 この辺の要素も、ファンタジーなギルドとはまるっと異なる個所ではないかと思います。個人的には、冒険者ギルドのみんなで忘年会とか都市のお祭りに参加とか面白そうだとは思いますけどね。

■ギルドの門■

 そんな素敵なギルドでありますが、いいことばかりではありません。

 世界史の教科書でもよく語られますが、職人達のギルドは、時代を経るに従って閉鎖的かつ保守的になっていきました。何度も言うように、ギルドは自分たちの権益を守るためのものですので、部外者に冷たくなるのも必然だったのかもしれません。

 例えば、ギルドは職人達の組織ですが、実際には正会員となれるのは職人の中でも親方に限られていました。そしてその親方になる道は年々険しくなっていきます。経済的なものや家柄など、親方・ギルドの世界に入るには様々な条件が課せられるようになります。ギルド員であることは、もはや一種の特権階級とすら言えるポジションでありますが、特権とは限られた人間に与えられるからこそ特権。そう安々と部外者に与えるわけにはいかんというわけです。

 ここで再び、前述した詩人ダンテに登場願いましょう。
 上で述べたように彼は薬剤師のギルドに加入したわけですが、何故に薬剤師ギルドだったのでしょうか。そこには、この組合は看板と異なり文学者などの知識人にも門戸を開いていたというフィレンツェ特有の事情があります。つまり彼はギルドの世界に入るには、薬剤師ギルドに入るよりほかに選択肢がなかったわけです。それなりの家系の出で、後に歴史的な名声を勝ち得ることになるダンテですら、一種の裏口を使わないとギルドの世界には入ることはできなかったとも言えます。

 別の例も少し。中世末期に活版印刷の発明者として有名になるグーテンベルクは、「母方の祖父が貴族でなかった」ために貨幣鋳造ギルドに入ることができませんでした。中世末期は身分がとやかく取り沙汰された時代でもありました。

 とまあこのように、ギルドが持つ権益や社会的立場に反比例するかのように、ギルドの門は狭くなっていくのでありました。一方でファンタジーなギルドでは、この手の入団審査はほぼ無いか、あっても形だけのケースが多いように思います。

 ‥と、ここまで書いておいてなんですが、ファンタジーギルドとリアルギルド、あんまり似ていませんね。薄々わかっていた事ではありますが、創作向けにフルカスタマイズされたファンタジーギルドとリアルのギルドは根っこから別の概念であって、無理に混ぜるべきではないということなのでしょう。

■リアルにおける冒険者ギルド■

 さて、リアルギルドとファンタジーギルドは別物だという自明の結論に至った我々ですが、であればファンタジーギルドとは文字通り実在しない幻のギルドという事になるのでしょうか? リアル世界に冒険者ギルドは本当に存在しないのでしょうか。美人の受付嬢は妄想の存在でしかないのでしょうか。いいえ、そんな筈はありません。この広い世間にはギルドっぽい組織の一つや二つはあるはずです。
 というわけで、ここではリアル世界の似たような組織を取り上げてみます。

口入れ宿

 素性の知れないゴロツキが屯する、仕事の斡旋機能をもった場所‥。
 となると、一番近いのは「口入れ宿」「口入れ屋」ではないでしょうか。

 これは江戸時代の職業斡旋所みたいなもので、武家の奉公人や大工、飛脚などの労働力を提供する母体として機能していました。求職者への一時的な宿の提供、仕事の斡旋、求職者の身元の保証などがその役割でしで、割と冒険者ギルドにも通じるところがあるのではないでしょうか。

 求職者自身による相互扶助的な側面は薄いですが、宿や酒場は冒険者とは切っても切れない関係。実際、ギルドの代わりに「冒険者の宿」という用語を用いる作品もあります。口入れ屋が取り扱った雑多な肉体労働なんかいかにも冒険者ですし、これがファンタジー世界ならゴブリン退治も間違いなく口入れ屋の管轄でしょう。

 その組織度合いは多種多様なようですが、前述のようにトラブル回避のために身元の保証なども行っていましたので、人員の管理もある程度は行っていたとは言えましょう。また一口に口入屋と言っても、江戸時代には官主導のものから民主導のものまで様々な斡旋業者がありましたので各種のファンタジー作品の冒険者ギルドに類似するものもきっとあるに違いありません。

兄弟団

 リアルギルドほどガチガチではない同職組合という意味では、中世欧州の「兄弟団」や「信心会」といった組織も挙げられます。
 この兄弟団というやつは、ある意味ギルド以上に様々な側面や曖昧さがあり一言で語るのがとても難しい組織なのですが、平たく言えば日本における「講」みたいなものだとご理解頂ければよかろうかと思います。

 もともとは同一の信仰を持つ人達による相互扶助の組織であり、例えば宗教的な行事や冠婚葬祭のために共同で資金を出し合ったり、あるいは皆で集まって酒場で宴会とかをしていました。本稿で取り扱った職人ギルドも、もともとは兄弟団的な組織から始まったとも言われています。兄弟団自体は特定の職業に限定した存在ではないのですが、中には特定の職業人による兄弟団が設立されることもありました。親方への門戸が狭くなった時代に、親方になれない職人たちが自分たちの組織を持つために兄弟団を結成してギルドと対立するようなこともあったくらいです。

 特定の酒場での交流、緩やかな相互扶助。そこでは仕事に関する情報交換も当然あったでしょう。酒場以上、リアルギルド未満の、比較的ゆるい相互扶助の組織という意味では、この兄弟団もまたファンタジーギルドのモデルと言えるかもしれません。そういえば、イスラム世界でのギルドも、欧州のギルドほど面倒くさくないライトな相互扶助組織であるとも聞きます。誰か詳しい人はおらんもんでしょうかね。

冒険者ギルドに似て非なるニ態

冒険者ギルドに似て非なるニ態

■リアル冒険者ギルド■

 では最後に、リアルギルドの各特徴を冒険者ギルドに無理矢理あてはめてみるとどうなるでしょうか。
 リアル世界の中から冒険者ギルドを探すのではなく、逆に冒険者ギルドをリアルギルドに引き寄せるという蛮行というわけであります。(ちなみに、本ページで語っていない要素も以下には含まれています。)

~必見! これが誰も喜ばないリアル版冒険者ギルドだ!~

  • 冒険者には、見習い冒険者、一般冒険者、親方冒険者の3つのランクがある
  • 冒険者を目指す者は、まずは見習い冒険者として数年間は親方冒険者のもとで奉公する。その間は、食事の賄いや小遣いの支給等はあるが、原則無給
  • 見習いを卒業すれば一般の冒険者となり給料が支払われるようになるが、それでもまだギルドへの加入は許されず、ギルドに入るには親方冒険者となる必要がある。それまでの間は親方のもとで冒険者として働くことになる。
    この状態でも冒険者ではあるが、あくまで親方の監督下にあり、自由に依頼を受けたりすることはできず、親方の指示のもとで仕事を手伝うのが基本的な業務になる。
  • そもそもギルド非加入者が冒険稼業をすることはご法度。冒険をしたければ冒険者ギルドに加入する必要がある。
     (見習いや親方の元で働く一般冒険者の場合は、親方の指揮のもとで冒険することは可能)
  • 冒険者ギルドへの依頼は、所属する冒険者同士で融通し合い、なるべく競争が起こらないようにする。特に各々の冒険者の守備範囲は細かく定められており、薬草取りが専門の冒険者がゴブリン退治をするなどの逸脱は規約で厳しく禁じられている。
  • 冒険者ギルドは、そもそも互いに加入者の利益を最大化させるための組織であり、冒険者たちは一致した利害のもとに連携した組織として活動する。
  • そのため、ギルドの冒険者たちは町の祭りの日にはギルドとしてまとまって出し物をしたり、ギルドとして共通の守護聖人を奉じたり、ギルドで宴会・会食をしたりと連帯を強めるイベントが割とある。
  • ギルドに加入した冒険者は運営資金を支払う必要がある。拠出した資金は、負傷者した冒険者の看護やギルドとしての各種行事(宗教行事、宴会など)に用いられる
  • 冒険者ギルド(親方)の席の数はある程度定められていて、加入冒険者をいくらでも増やせるわけではない。親方が抱えることができる一般冒険者の数も定められている(たいていは親方1人につき一般冒険者1人だけ)ため、冒険者全体の数にも上限がある。
  • もちろん、勝手にギルドを設立するようなことはできない。都市当局の承認があれば話は別であるが、原則として一つの都市につき、同職のギルドは一つだけ。
  • 上記の帰結から、親方株(ギルドの株)の数は都市によって固定されている
  • 一方でこの株は世襲されることも多いため、時代を経るにつれて世襲冒険者の割合が増えていき、外部の者がギルドに加入することは困難になっていく
  • 一例として、親方になる(ギルドに加入する)には、親方に高額の手数料を支払ったり、入会祝いの宴会費用を拠出したり、数年間の放浪をして各地の冒険者親方のもとで実績を積む必要があったり、竜を退治したりして実力を示す必要があったり、家柄や品行などの審査があったり、等。
  • しかし例えば高額の手数料を支払うのは安給料の一般冒険者には困難でもあったりして、事実上部外者がギルドに加入するのが不可能と言えるようなケースも多々あった。
  • そんなため、冒険者ギルドに入るために、死亡した親方の未亡人と結婚することで、奥方が保有している親方株を手しようとするような事例も増えてくる
  • 逆に、冒険者ギルドに加入できた冒険者はもはやゴロツキなどではなく社会的立場を持った一端の市民とみなされる。中には都市の政治家として活動する者もいる
  • 美人の受付嬢はいない

 こうして眺めてみると、冒険って何だろうという気分にもなりますね。哲学的ですね。
 こんな面倒くさい世界で冒険者するくらいなら盗賊にでもなった方がマシのような気もしますが、しかし盗賊になるにはやっぱり面倒くさい過程を経て盗賊ギルドに加入せねばならないのでした。

guild06


8 comments on “異世界転生ファンタジーの参考にならないギルドの話

  1. >~必見! これが誰も喜ばないリアル版冒険者ギルドだ!~

    これ、誰も喜ばないどころかすごく面白そうですね!ところどころファンタジーの王道設定に重なる要素もありますし、謙遜してるのでしょうが蛮行どころかフィクションにもとてもフィットすると思いますよ!主人公を見初める未亡人とか親方株を巡る争いとか、「冒険者」ギルドなら業務中に命を落とすことも他の職業に比べればそこそこの頻度であるでしょうから現実のギルドと比べて流動性も確保しやすいでしょうし。野良冒険者との争いや共闘があったり、旧弊的でギルド内政治にあけくれる上層部に嫌気をさして、非公式の兄弟団を設立して対抗するのも面白いかもしれません!

    • コメントありがとうございます。
      蛮行云々は、謙遜というよりは下手に史実はこうだと言って創作のハードルをに上げるような事になって欲しくないなという意図もあったりします。
      所詮は思考実験ですが、そんなお馬鹿な思考実験でも何らかの話のネタを提供できたようであれば何よりです。
      ギルドに限らず、この辺はネタだけは割と転がってると思うんですよね。料理に適してるかはともかくとして。

    • あくまで、歴史的なギルドの延長上として盗賊ギルドを扱えば、という話ではありますが。 しかし当局公認の盗賊というのもまたドラマがありそうですな。

  2. とても楽しく読ませていただきました。
    文献などでこういったギルドの概要を書いているものはありましたが、
    絵などを交えてわかりやすく纏めているものは、初めてみたので、
    「なるほど!そうなっていたのか!!」という驚きがありました。
    こんなふうにかけるヤマダさんはすごい!と思いました。
    これからも、このような記事を楽しみにしています!

  3. このリアル寄りギルド、むしろ今ならなかなか美味しいネタになりそうで素敵です!
    しかしファンタジー世界だと、冒険者数の制限が人員不足を生んで、それがそのまま治安・国防に関わる……とかありそうですね。例えば、元々リアル版ばかりだった冒険者ギルドが、ファンタジーでよくあるスタイルのものに変化していく過程とか、長編一本書けそうな勢いになるかと。

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