天使はなぜ堕落するのか/八木雄二

魔界、それは中世哲学
中世なら大抵のものは愛する雑食者たる私でも、裸足で逃げ出す領域がある。それが、中世哲学。
言語、慣習、時代、そして宗教。あらゆる壁の向こう側にある中世思想をまともに理解するのは、現代日本人にとってあまりにも過酷な道。
だが、そんな過酷極まりない魔界への道を整備してやろうと試みたのが、本書の著者だ。その著者の手になる本書は単に思想史の上っ面をなぞるのではなく、魔界の様相を何としてでも理解させんという強い意思に満ちており、門外漢でも苦難ながら辛うじて歩けるようになっている。
魔界探検と中世思想の入門書としてこれ以上はそうそう望めない、そんな本。